ミシマ文学-鹿鳴館 [観劇やらプリンスやら]
本日は、劇団四季の「鹿鳴館」を観に行きました。
三島由紀夫の戯曲。
彼の本、好きです。
でも、ちょっとムヅカシイところもある。
だから、お芝居で観ることができたら、すんなりと頭にも入ってくるかも。
と思ったので、観に行くことにしました。
数年前、ボストンで女友達と夕食にクラムチャウダーを食べたあと、
日が落ちるのを眺めながら、公園のベンチで二人でおしゃべりをしていました。
そこに、ローカルボーイが二人、近づいてきた。
一人は、チャラチャラしている男の子。
もう一人は、いかにも冴えない男の子。
ハイ、いわゆるナンパです・・・・
ワタシたちが日本人だと言うと、チャラい男は、
「東京から?」と。 (んもーうざいなー、トウキョウしか知らんのか、キミは!)
冴えない男は、
「日本といえば、ミシマだよね」と。 (ミシマ・ハラキリしか言えんのか、まったく!)
そんな受け売りの知識しかない彼らでも、ミシマを知っている・・・ということは、相当有名人なんだね、三島由紀夫って。
(もちろん、そんな、低レベルな会話しかできない彼らのオファーは丁重に?お断りしましたヨ)
と、雑談はこれぐらいにして・・・
最近は、本を読む時間が随分減ってしまっていたので、
鹿鳴館を観に行くのをきかっけに、先月『勝手に三島月間』と称して、
「禁色(きんじき)」という本を読みました。
- 作者: 三島 由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1964/04
- メディア: 文庫
この本、一言でいえば「ホモセクシュアル」
老作家が、男性しか愛せない、若くて聡明な美男子を買い、
老作家が、かつて騙されたオンナたちにその美男子を使って復讐する、という、
ドロドロとした物語。(かなり面白かった。)
今では、同性愛をカミングアウトできるような時代にもなってきましたが、
あの時代に、あんなにセンセーショナルな作品を生み出した三島由紀夫は、
時代を先取りして、日本の未来を見ていたのかもしれない、、
と思わずにはいられなくなりました。
さて、本題の「鹿鳴館」。
三島由紀夫は「俳優芸術のための作品」としてこの戯曲を書きました。
100ページの戯曲って結構短いような気もするけれど、内容は濃かったです。
政治間の醜い争いがあったり、華やかな舞踏会があったり。
陰謀や復讐に煮えたぎっていたり。
そんな中で、それぞれが、自分自身の存在意義について悩んでいたり。
・・・ところで。
この時代の女性たちって、こんなに自己主張が強かったのかな?
女性は、まだまだ、殿方に貞淑なのかと思ってました。
男性の後ろを三歩下がってついてくるような、そんな慎ましやかな女性を
イメージしていたんです、ワタシは。
いや、もしかしたら、三島由紀夫の頭の中で「きっとこんな女性だっていただろう」と思って
この戯曲を書いたのかもしれない。
三島由紀夫の作品の多くは、「弱者の味方」というか、マイノリティにフォーカスしたものが多いような気がするから・・・
・・・・鹿鳴館の結末は、三島由紀夫らしい、悲しいものでした。
諄諄的ツボにはまった三島流の愛の台詞は、
侯爵の娘、顕子が、反政府派リーダーの息子、久雄に向けて語るシーン。
(久雄の上着のボタンをいじって)もう私、このボタンの一つ一つを見えない糸で自分の着物にすっかり縫いつけてしまいますわ。・・・(中略)
・・・あなたのこの胸のボタンは星。私はやっとそこに繫がれて ----
とまあ、第一ボタン、、第二ボタン、、第三ボタン、、と、彼のボタンをいじりながら、
愛をささやく顕子はほんとに、愛らしかったわー。
今日の顕子役は濱田めぐみさん、久雄役は田邊真也さん。
田邊さん、、どこかで見たような?・・と思ったら、
1年前、「思い出を売る男」でアメリカ軍人役で観ていたことに、後になって気づきました。
あの時は、あの醤油顔のお顔立ちで、金髪のカツラをかぶって、
♪I dream of Jenny with a light brown hair~(金髪のジェニー)
と歌っていて、ちょっとあの顔で金髪はムリあるなぁ、って滑稽に見えたのに、
今日の久雄役は、精悍なお顔立ち!
(実は、福井さんの久雄役を期待して行ったので、”福井久雄”が見られなくて残念に思っていたのですが、思わぬ美少年の登場に、ちょっとしたトキメキを感じました。)
濱田さんのイメージは、ワタシの中で、「イカツい感じ」でしたが、
実に、ソフトでおしとやかで、可愛らしい女性に変身していました。
観劇後、お茶を飲みながら、プログラムの木村花代さんのプロフ写真がパーマヘアだったので・・・
某氏に、「花代ですメール」を送りました、笑(・・・癒されたかな?彼。ウフフ)
<本日のキャスト>
影山悠敏伯爵 :日下武史
同夫人 朝子 :野村玲子
大徳寺侯爵夫人 季子 :末次美沙緒
その娘 顕子 :濱田めぐみ
清原永之輔 :広瀬明雄
その息 久雄 :田邊真也
飛田天骨 :田代隆秀
女中頭 草乃 :坂本里咲
宮村陸軍大将夫人 則子:中野今日子
坂崎男爵夫人 定子 :大橋伸予
華族/写真師/給仕/職人
太田泰信・青木 朗・岡﨑克哉・朝隈濯朗・川原信弘・白倉一成・石原義文・木村雅彦・
森田利夫・緒方愛香(劇団昴)・勅使瓦武志・鳥畑洋人(劇団昴)
華族
林 浩代・岡本和子・岡本結花・藤井智子・大西利江子・深沢未可子
私が百メートルも離れていない秋劇場でハッピー120%で笑っていたころに、諄諄さんたちはまじめな顔していたんですね。
三島も明治初期を生きたわけではないので、いろんな資料などから「女性が解放された時代」を感じていたのかな~と思いながら、観ました。野村さんは、後半の啖呵を切るところが、芸妓あがりらしい強さがあって、よいですね~。
福井さんの久雄は2週間限定だったようです(それをしっかり観ている、自由劇場常連の私)。田邊さんも繊細でお上手ですが、福井さんはまた違った、地面から木が生えているような強さがあって、それもよかったですよ~。
しかし…「鹿鳴館」は、いろいろと男と女の違いを考えさせられます。
そこで煮詰まりそうになったら、最高にハッピーな「クレイジー・フォー・ユー」観劇でリフレッシュしてくださいね!
by ありす (2006-02-20 01:32)
★ありすさん
二人して、腕組みしながら、お芝居を観てしまいました・・・(苦笑)
え!福井さん、2週間限定だったの??ですか?ということは・・・次は猫にやってくる?(そっちのほうが嬉しかったりして!)
次回の観劇は、何も考えずに、ただただハッピーになれる、CFYです!
なんと、4人の美女が2列目に並んで観劇する!という、ハイレベルな企画です(笑)
by 諄諄 (2006-02-20 02:00)
奇才・三島由紀夫ですな。
悲しい結末。
難しく取っ付きにくそうな感じが・・・いまも・・・
しかし姫君方は劇場通ですなー。
オラーライオンキングが一番ダー。大西ライオン
by narushi (2006-02-20 22:44)
おらー、そん時「春劇場」に仕事でいました。(たぶん。。。)
ま、それは良いとしてー。
三島由紀夫の自宅に呼ばれたバイセクシャルな歌い手さん(かなり年上)が知り合いにいまして、いろいろココでは話せない話を聞かせてもらいました・・・。
実は昔、その方の家に何度も泊めてもらったことがあって、今考えるとかなりの冷や汗ものです・・・(^o^;
ミシマとある意味「兄弟」になっちゃう可能性もあったわけですからっ!
あっ、ワタシはその気はないです。念のため・・・。
by すが☆。 (2006-02-20 23:33)
ミシマね。だめだな。こりゃ。
日本文学、勉強しなおさなくちゃ。
どれもこれも中途半端でいろいろな人がミックスされちゃう。
ちょっと、本読んでみるね。そう思うと
沢山よみたい人がいるなぁ…。
by eri (2006-02-20 23:45)
三島の切腹はもう何年前になるのかしら?
信じられない事件だったわ・・・・・・
この時代に自分であんな苦しい自殺手段を選ぶとはヤダヤダ
諄諄ちゃん お忙しいとは思いますが
「お馬さんバトン」受け取ってくださいませ☆
by アンジェラ (2006-02-21 08:08)
自由劇場デビューはステキでした。日本語は美しいし、セットもよかったし、久しぶりにお芝居を見たって感じがしました。(疲れちゃったけど)
ありがとうございましたぁ~!
今週はねこねこファンタジアにいってきまーす。
by mami (2006-02-21 10:22)
★narushiさん
オイラもライオンキング、好きダー!
大西ライオンのあのネタは、舞台で本物見たら、マジで感動するよ!
(↓の、すが☆。さんは、本職です。)
★すが☆。さん
え~三島由紀夫って!?そうなんですかぁ?いや、まあ、確かに美男子ですものね、彼。今度是非じっくりその話、聞きたーい!
★eri
日本文学は、今の歳になって、ようやくその面白さが解ってきたような気がする・・・オトナになってきた、、ということなのかな?(笑)
by 諄諄 (2006-02-21 13:37)
★アンジェラさん
切腹は美談として伝えられてはいるものの、ワタシ個人としては、本当にもったいないことをしたものだ、、、と思ってしまいます。
「お馬さんバトン」の件、了解で~す☆
★mamiちゃん
ストレートプレイ、しかも三島由紀夫という題材は、ちょっとヘヴィだったかもね・・・
そんな疲れもキャッツホスピタルで治してもらってきてね♪
(爽やかなミントの香り、嗅げるといいね、笑)
by 諄諄 (2006-02-21 13:48)
すいません、今頃何ですけど、ハピばーすでぃ。
しかも書き込むエントリー違うし。でへへ。でへへへ。
プレゼント替りにオイラのお気に入りサイトをご案内↓
ヒマなときに見てください。癒されます。
http://csx.jp/~vaiosqare/move/horiegelion.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Renge/9226/flash/doradora2.html
http://f32.aaa.livedoor.jp/~karasu/flashes/china_d.swf
http://f32.aaa.livedoor.jp/~karasu/flashes/china_b.swf
by けん・ぼよよ~ん (2006-02-21 20:11)
★けん・ぼよよ~ん大先生
アナタの好きな放置プレイでスルーしようかと思ったけれど(笑)、折角いただいたプレゼントなので、癒しのサイト、見に行ってしまったわ。
どこが癒しじゃ~!
by 諄諄 (2006-02-22 00:06)